救急車を呼ぶ②

もう一つのお話をします。


4年ほど前の事です。
帰宅途中、自宅の側で近所のお爺さんに会いました。
何時も丁寧に挨拶してくれる、好感の持てるお爺さんです。


でも、その時は様子が違いました。
『ゴミやさん、行っちゃったかな〜』
と挨拶も無く、つぶやくように私に聞きました。


お昼過ぎ、もうごみ捨て場は綺麗です。
『行ったみたいですね。』
と返事をしましたが、聞こえないのか、ごみ捨て場に向かって歩いて行く、その後ろ姿に驚きました。


お爺さんの後頭部からYシャツ襟元まで、血がベッタリ付いていました。


お爺さんに、どうしたのか聞くと、家の中で転んでガラスを割り、それを捨てに外に出たようです。


血はもう固まり、止血してるようでした。


独り暮らしのお爺さんです。怪我の手当ても儘ならないだろうと、家に手当てする物を取りに行った時義母に話すと、義母も一緒に来ました。


義母とそのお爺さんはお互い嫌いあっています。
そのせいもあってか、お爺さんの玄関先で手当てをしたのですが、身構えるようです。
『病院へ行きませんか?』
と聞きましたが、平気だと言うので、手当てを終わらせて、お爺さんに、服を着替えたほうが良い、と言い自宅に義母と戻りました。


1時間ほどたち、外を又お爺さんがフラフラ歩いているのを、洗濯物を仕舞いながら見ました。
Yシャツを着替えていません。
まだ血で汚れたままです。
明らかに何時もと様子が違います。


早めに自宅の夕飯を用意して、お爺さんにお弁当を詰めて持って行き、様子を見に行きました。


玄関先で呼ぶと返事が返って来ました。
でも、待っても待っても出てきません。


呼び掛けには返事が返って来ます。


心配になり、
『上がりますよ。』
と、家に入らせてもらうと、コタツに座り僅かなおかずで食事をしていました。


でも、立てないと言います。
お酒を飲んでいましたが、酔ってでは無いようです。
言葉もしどろもどろです。
『病院へ行きませんか?』
と聞くと、
『行く。』
と言ってくれたので、一緒に行くための用意と救急車を呼びに自宅に戻ると、義母が又一緒にお爺さんの家に来ました。


先ほどと言う事が代わり、
『明後日息子が家に来るから、ここにいる。』
と、強く説得しようとする義母と喧嘩するように話し出しました。


困りました。。。。。


しばらくして、救急車が外に止まり、救急隊の人が来てくれました。


お爺さんは、立ち上がれないものの、少しの返答が出来、救急隊の人と話しだしたので、これで任せられると思ったのですが、親族に連絡が取れないと病院に連れて行けないとの事。


電話番号が書いてあるものをしばらく探しました。
電話の所に電話番号が書いてあり、息子さんと連絡がとれました。
名前が書いてあったので、私には分からなかったのですが、後から来た主人が気が付きました。
他人が見る時も考えて、息子。娘。と書いた方が良いですね。


そんなこんなで、1時間ほどたっていたのでしょう。
主人も帰宅して、騒ぎと家に2人居ないので気になりお爺さんの家に来たので、私の家族が3人その場に集まりました。


外では、運ばれず家から出てこないお爺さんを、死んだのでは?と近所の人が噂して集まっています。


親族に連絡が取れたので、ようやく救急車に運ばれる事になりました。
私はもう、一緒に行く仕度をしてあります。
主人に何処の病院へ運ばれるか分からないので、後で連絡して私の迎えを頼む事にして、付き添いで救急車に乗りました。


救急隊の方が、脳梗塞を起こしているかもしれないと言う言葉も聞きました。


病院の待合室で一人でお爺さんの親族が来るのを待っていたら、主人が夕飯を軽く食べたからと交代に来てくれて、私は自宅に帰りました。


幸い徒歩で帰れる、近い病院でした。


1時間ほどして、息子さんが来たと主人も帰って来ました。
息子さんは主人と幼い頃一緒に遊んでいた顔馴染みです。


数日後、息子さんと娘さんがお礼に来て、義母と話を聞けました。
義母は興奮気味にその時の説明をしました。義母が活躍したようにで、私は少し。。。。
まぁ良いか。


義母の方が色々聞くのが上手です。
任せましょうと聞いていたら、
救急車で運ばれたその晩、脳梗塞の手術をして成功したそうです。
安堵しました。


でも、完治は難しく自宅にはもう帰れないだろうと。。。。。


あの日、一命を拾ったのでしょう。
私が気が付いたからでは無く、お爺さんの運が強かったと思えました。
でも、完治出来ないのかと思うと複雑な気持ちもあります。


古い家でしたが、良く手入れをして、綺麗に住んでいました。でも、隣の部屋がガラスだらけだと救急隊の人が言っていました。
あの時はもう、掃除出来なかったのですね。


あの日の私の脳裏には、6年程前に、隣の家の独り暮らしのお爺さんがお風呂で亡くなっていた事が浮かんんでました。


誰も知らない間に亡くなる事が怖く思えて行動しました。


そして今は、お爺さんの家族がその家と土地を手放し、建売が建ち、私と同年代の方が近所に引っ越して来ました。


お爺さん、まだ生きているでしょうか?
気になっても、聞けなくなりました。


和かに、丁寧なお辞儀で挨拶してくれる姿を懐かしく思います。


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台風一過で暑くなりそうですね。
良い1日となりますように🙏✨✨✨



《今日の作品》
七宝焼の大きめのペンダントです。
カラフルな色なので、色々な洋服に合わせられます。f:id:kinsankinsan:20150512220149j:image